前回から「物の性質や特徴を決めるのは何か」ということについて説明しており、
それは、原子や電子の状態である、と説明しています。
(前回の記事はコチラ)
今回はその続きで、物の性質を決める要素について説明していきます。
<電気を通すか>
まずは、その物質が電気を通すかどうかを決める要素を説明します。
電気は物質内を「電子」が移動することで流れます。
物質内を電子が移動し、ほかの物質に当たることで熱を発したり、電子の移動で磁力が生じることでものを動かしたりしています。
つまり、その物質が「移動できる電子」を持っているかどうかが、電気を通すかどうかを決める要素なのです。
(移動できる電子のことを「自由電子」と呼びます。電気について詳しくはコチラ→電気とは何か)
多くの物質は、原子核により電子が束縛されているため、電子が動くことはできません。
しかし、金属原子は、原子を引き付ける力が弱いため、自分の持つ電子が外に飛び出そうとしています。
そこで行き場を失った電子が「自由電子」となって物質内を移動することで、電気が流れる、という仕組みです。
(物質の結合についての詳細はコチラ→分子や原子はどのようにくっついているのか)
<磁石にくっつくか>
続いては磁石にくっつくか、について説明します。
木は磁石を近づけてもくっつきませんが、鉄は磁石を近づけるとくっつきます。
この違いも、物質がもつ電子の状態から説明することができます。
まず、基本として、電子が動くと周囲に磁力を発生させます。
そして、原子内の電子は「スピン」と呼ばれる運動をしています。(よく、地球の自転に例えられます。)
多くの物質では2つの電子がペアで存在し、それぞれが別方向のスピンを行うため、お互いの磁力を打ち消しあっています。
そのため、全体として磁力を生じることがなく、磁石にはくっつきません。
しかし、鉄の場合はペアにならない電子(不対電子)を持つため、磁力が打ち消されず、磁力を生じることになります。
磁石を近づけると、それぞれの原子が発する磁力が同じ方向を向くため、磁石にくっつくのです。
磁力についての詳細はコチラ→磁力とは何か2
このように、磁石にくっつくかどうかも電子の状態によって決まるのです。
<燃えるか>
最後に燃えるかどうか、について説明します。
まず、物質が燃える、というのは、「物質が酸素と結合する時に熱や光を発する現象」と整理することができます。
この現象が起こる過程は以下の順になります。
①AとBが結びついた物質ABを高温にする
②熱エネルギー(熱運動)を持つことで、ABの結合が弱まる
③Bがより結合しやすい酸素と結合する
④不安定な結合であったABの時に持っていたエネルギーを熱や光として放出
つまり、燃える物質というのは、「安定的に酸素と結合する物質(原子)」を含んでいることが条件となるわけです。
この物質の代表が「炭素」です。
そのため、炭素を多く含む木や紙、木炭や石炭などはよく燃える、というわけです。
逆に炭素を含まない岩石などはほとんど燃えることはありません。
詳しくはコチラ→化学エネルギーとは何か②~ものが燃える仕組み~
以上、今回はものの性質を決める要素の説明として、「電気を通すか」「磁石にくっつくか」「燃えるか」という3点を具体例として説明しました。
そしていずれの場合も、原子やそこに含まれる電子の状態により決まる、ということを説明しました。
これらはほんの一例にすぎませんが、世の中にあるあらゆるものの性質や特徴についてギモンに思うことがあれば、それらの多くは「原子や電子」に起因しているのだ、ということを理解しておいてください。
それさえ押さえておけば、そこからさらに調べることが少しは楽になるはずです。