人や物が水に浮くのはなぜか(浮力とは何か)


今回は、人や物がなぜ水に浮くのか、水が人や物を浮かせる「浮力」とは何かについて説明していきたいと思います。


浮力について理解するためには、まず「水圧」について理解しておく必要があります。

水圧とは、水の重さによってかかる圧力で、上から下向きにかかり、深いところにいくほど大きくなる、というのが一般的なイメージでしょう。



しかし実は、水圧は下向きだけではなく、「左右や上向きなど、全ての方向にかかっている」というのが非常に重要なポイントです。


全ての方向に水圧がかかる原理について説明していきます。


水の浅いところでは、上にある水の重さが少ないため、上から押しつぶされる力はあまり掛かっていません。
そのため、水分子は広い空間の中で動くことができ、水分子が壁にぶつかる可能性は低くなります。

一方、水の深いところでは、上にある水の重さが多いため、上から押しつぶされる力が大きく掛かっています。
すると、水分子が動ける空間が押しつぶされて狭くなっているため、水分子が壁にぶつかる可能性が高くなります。

この水分子が壁にぶつかる力が、上下左右全ての方向にかかる水圧の正体なのです。




このように、流体(液体・気体)において一か所に力がかかると、それが全ての方向に伝わる現象を「パスカルの原理」と呼びます。


以上のとおり、水には深いところほど大きな「上向きの水圧」がかかっているということになります。

そして、水の上の人や物の重量(下向きの力)と、上向きの水圧(上向きの力)が釣り合うときに、その人や物は浮かぶ、というわけです。


ちなみに、上向きの水圧により生じる浮力は、水に接している全ての面に平等にかかります。
よって、水に接している面を大きくすればするほど、その物は大きな浮力を受けることができるということです。

あんなに大きな船が浮かぶことができるのは、

①水に触れる面積を大きくして、受ける浮力をできる限り大きくしている
②船体を空洞にすることで、できる限り軽くしている


という2つの理由によるものとなります。




最後におまけとして、イスラエルとヨルダンの国境に「死海」という湖があります。
ここは非常に塩分濃度が高く、強い浮力を持っている(沈むことができない)ことで有名です。

この原理も、先ほどの上向きの水圧で説明することができます。

先ほど説明したとおり、上から圧力を受けて空間が押しつぶされることで、水分子が壁にぶつかる力が全方向への水圧です。
死海は塩分濃度が高いため、同じ空間に存在する物質の量が多いということになります。

そのため、物質同士がぶつかる確率や、物質が壁にぶつかる確率がより高くなるので、全方向への水圧がただの水より強くなります。

その結果、浮力が大きくなる、という原理です。




以上、人や物が水に浮かぶ理由、浮力について説明していきました。

うまく浮かべない子供がいたら、水にふれる面積をなるべく多くして、水が上向きの力で押してくれている、とイメージするよう伝えてみてください。


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