電化製品などから発するといわれる「電磁波」
人の体にも影響があるといわれますが、その正体は一体何なのでしょうか。
今回は「電磁波とは何か」ということについて説明していきたいと思います。
電磁波の前提となる2つの力
電磁波の説明に入る前に、その説明に欠かせない2つの力について簡単に説明します。
1つ目は電力
プラスの電気を持つ物質と、マイナスの電気を持つ物質が引き合う力のことです。
(逆に、プラスとプラス、マイナスとマイナスは反発する)
プラスとマイナスが引き合ったり、反発したりする力が発生している空間を「電場」と呼びます。
電流は、マイナスの電気を持つ「電子」が、マイナスと反発、プラスに引っ張られることで移動することで生じるものとなります。
(電気についての詳細はコチラ→電気とは何か)
2つ目は磁力
こちらはN極とS極が引き合う力のことです。
(N極とN極、S極とS極は反発)
異なる極同士が引き合ったり、同じ極同士が反発したりする力が発生している空間を「磁場」と呼びます。
(磁力についての詳細はコチラ→磁力とは何か)
そしてこの電力と磁力には以下のような密接な関係があります。
・電子の動き、つまり電力(電場)が発生すると、その周囲に磁力(磁場)が発生する
・磁力(磁場)の向きや力が変化すると、その周囲に電力(電場)を発生させる
・元となる磁場や電場の向きが変わると、それによって発生する電場や磁場の向きも変わる
この関係性により、電場と磁場が連続的に発生し伝わっていくのが「電磁波」の正体となります。
なお、なぜ電場から磁場が発生するか、磁場から電場が発生するか、という点については科学的にも解明されていない点が多く、現状では「そういうもの」として理解しておいてください。
電磁波発生の流れ
電磁波は「電場」と「磁場」が連続して発生していくものである、と説明しました。
以下に、電磁波の発生の流れを図示していきたいと思います。
①熱による原子の振動により、原子内の電子も動く
(熱についての詳細はコチラ→熱とは何か)
②電子が動いたので、その周囲に磁場が発生する
③熱運動は振動のため、その動く向きは絶えず変化する
④電子の動く向きが変化したので、発生する磁場の向きも変わる
⑤磁場の向きが変化したので、新たな電場が発生する
⑥新たな電場の発生により、新たな磁場が発生する
⑦新たな磁場も、元の原子の熱運動に伴い絶えず向きを変化させるので、それによりさらに新たな電場が発生する
この繰り返しにより、向きを交互に変えながら空間を磁場と電場が伝わっていくのが「電磁波」ということです。
電磁波が他の物体に与える影響
続いて、この電磁波が物体にあたった時の影響について説明していきます。
物体に到達した電磁波は、以下のように物体の原子内の電子を動かす力を持っています。
・到達した磁場は絶えず向きを変えるので、物体内に対しても電場の変化(電力=電子を動かす力)を発生させる
・到達した電場は電子が多いほうがマイナス、電子が少ないほうがプラスなので、物体内の電子はプラスに引っ張られる
結果、電磁波にあたった物体内の電子は向きを変えながら動く(=振動)することとなります。
電磁波のもととなる原子の熱運動が激しい(振動が速い)と、そこから発生する磁場と電場の向きの変化の回数も多くなります。
(短時間にたくさん変化する)
逆に原子の熱運動が激しくない(振動が遅い)場合、そこから発生する磁場と電場の向きの変化の回数は少なくなります。
磁場と電場が変化する感覚が短い電磁波は「波長が短い」と表現し、その電磁波が到達した物体の電子の動く向きも速く変化させる(=激しく振動させる)こととなります。つまり、短い波長の電磁波は高いエネルギーを持っているということとなります。
一方、磁場と電場の変化する感覚が長い電磁波は「波長が長い」と表現し、その電磁波が到達した物体の電子の動く向きはゆっくり変化させる(=緩く振動させる)こととなり、あまりエネルギーは高くありません。
このように、電磁波は物体に届いて、その物体内の電子を動かします。
そしてその電子の動きは、電磁波の波長によって異なる、ということが重要なポイントです。
次回は、電磁波によって動かされた電子が、具体的にどのような自然現象を起こすか、ということを説明していきたいと思います。
(続きはコチラ→電磁波とは何か②)