※この記事は「地球上の大気循環について①ハドレー循環とコリオリの力」の続きです。
おさらいになりますが、地球上には大きく以下の3つの大気循環があります。
①ハドレー循環
②極循環
③フェレル循環
加えて、空気を西や東向きに曲げ、偏西風や偏東風のもととなる「コリオリの力」という重要な力があります。
前回記事で「ハドレー循環」と「コリオリの力」について説明しましたので、今回は「極循環」と「フェレル循環」について説明していきたいと思います。
極循環とは
極循環とは、北極や南極付近から流れてきた空気が、緯度60°付近で上昇気流となり、上空で再度北極や南極に戻っていく循環のことを言います。
順を追って、極循環ができる原理を説明していきます。
①極付近の冷やされた空気により高気圧となる
北極や南極付近は太陽の光が当たりにくい(斜めに当たる)ため、空気が大変冷えています。冷えた空気は運動しないため密度が高まり、重くなることで下に溜まる、つまり高気圧となります。
そして周囲の相対的に気圧が低いところへと空気が移動していきます。
②冷たい空気と暖かい空気がぶつかり上昇気流となる
極から流れてきた冷たい空気は、緯度60°付近で暖かい空気とぶつかります。冷たい空気と暖かい空気がぶつかると、暖かい空気の方が軽いため、暖かい空気が上に上がっていく、つまり上昇気流ができます。
③上昇気流により上空の気圧が高くなり周囲に流れる
緯度60°付近でできた上昇気流により上空の空気が多くなり気圧が高まります。逆に、極付近は高気圧で下に空気がたまっているため、上空の空気は少なくなっています。
結果、緯度60°付近の上空から極付近の上空へ空気が移動します。
こうして、北極や南極と緯度60°付近の大気の循環が行われており、これを「極循環」と呼びます。
フェレル循環とは
最後に、ハドレー循環と極循環の間で発生している「フェレル循環」について説明していきます。
ハドレー循環と極循環の結果、緯度30°付近の地表に高気圧が、緯度60°付近の地表に低気圧が発生しています。
地表においては高気圧から低気圧に空気が移動します。
一方、緯度30°付近は上空の空気は少なく、緯度60°付近は上空の空気が多いことから、緯度60°から緯度30°に向かって空気が移動します。
これにより、ハドレー循環と極循環の間(緯度60°~緯度30°)において空気の循環が発生します。これを「フェレル循環」と呼びます。
フェレル循環はハドレー循環と極循環によって間接的に発生する大気循環ということもできます。
以上、前回と今回に分けて地球上の主な大気循環である「ハドレー循環」「極循環」「フェレル循環」について説明しました。
次回は上記の大気循環によって引き起こされる地球規模の風について説明していきます。