私たちの生活に欠かせない存在である「水」。
あるのが当たり前のものですが、あえて「水とは何か」ということ、なぜ水が欠かせない存在であるかを考えてみましょう。
水とは何かを考える上で、重要なポイントが3つあります。
順番に説明していきます。
①水は常温で液体である
1つ目のポイントは「水は、常温で液体である」ということです。
人間が普通に生活する温度(0℃~40℃程度)では、水は常に「液体」として存在します。
身の回りを見ていただくと、実は常温で液体というのは珍しく、他にはアルコールや油くらいしかありません。
液体である、ということは「形を変えることができる」ということです。
(詳しくはコチラの記事⇒熱とは何か)
そのおかげで、血液として体内を流れることができたり、体の汚れを流すことができたり、排水管を通って排泄物を流すことができたり、汗として小さな穴から出たり、逆に喉から大量に摂取したりできるわけです。
水が「液体である」というのは、水の存在意義を語るうえで非常に重要なポイントです。
②水は他の物質を溶かすことができる
2つ目のポイントは「他の物質を溶かすことができる」という点です。
これについて説明するためには、水を構成する原子について理解しておく必要があります。
まず基礎知識として、水素や酸素を構成する原子は、プラスの電荷を持つ「原子核」に、マイナスの電荷を持つ「電子」が引き付けられることで作られています。
水は酸素1個(O)、水素2個(H2)で構成されます。(化学式:H2O)
酸素と水素では、酸素の方が電子を引き付ける力が強いため、水素が持っている電子が酸素の側に引き付けられます。
その結果、分子全体では酸素の側にマイナスが増えるため、酸素側が電気的にマイナスになります。
また、水素側のマイナスが減るため、水素側は電気的にプラスになります。
つまり、水分子は電気的にマイナスの部分とプラスの部分に分かれているといえます。
これは非常に重要なポイントなので覚えておいてください。
続いて、水に溶ける側の物質として「食塩(塩化ナトリウム)」を例に説明します。
塩化ナトリウムはナトリウム(Na)と塩素(Cl)で構成されます。
塩素の方が電子を引き付ける力が強いため、ナトリウムの持つ電子が塩素に奪われてしまいます。
この結果、電子を奪われたナトリウムは電気的にプラスの「ナトリウムイオン」となります。
一方、電子を奪った塩素は電気的にマイナスの「塩化物イオン」となります。
最終的にプラスとマイナスが引き合ってくっつき、塩化ナトリウム(NaCl)となります。
多くの物質は塩化ナトリウムのように、プラスの部分とマイナスの部分を持っています。
それが水に混ざると、水の持つプラスマイナスにそれぞれ引っ張られ、バラバラになっていきます。
これがまさに「水に溶ける」という状態です。
水が持つこの性質により、私たちは塩分などの水に混ざった様々な栄養を摂取したり、体内で様々な物質を血液に混ぜて運んだり、逆に老廃物を排出したりすることができるのです。
余談ですが、「油」は先ほどの塩化ナトリウムのような、プラスの部分マイナスの部分を持ちません。(全体が均一)
そのため、水に引っ張られてバラバラになることがないため、油は水に溶けないのです。
③一般的な温度で気体や固体に変わる
3つ目のポイントは「一般的な温度で気体や固体に変わる」という点です。
水は0℃で固体(氷)になります。氷として保管されることで、ものを冷却するのに活用できます。
しかし、それ以上に重要なのは、一定の温度以上で気体になることです。この性質により、海の水が気体(水蒸気)になり、それが空で冷やされ集まって雲となります。雲から降る雨を私たちは生活水として使うことができます。
この水の循環により、私たちは枯渇することなく水を得ることができているのです。
同じく常温で液体である油の場合は、炭素を含むため、気体になる前に炭素と酸素が反応して発火してしまいますので、水のように循環させることができません。
一定の温度で安全に気体に変化できる、というのは、水の非常に重要な点なのです。
このように水には重要な3つのポイントがあります。
これが「水とは何か」の答えでもあり、水が私たち人間にとってかけがえのない資源である理由なのです。
普段当たり前のように使っている水ですが、このようなことを知っておくと、その大切さが考えらえるのではないでしょうか。