「力」とは、重いものを持ち上げたり、硬いものを壊したりする能力のことを指しますが、力が強い・弱いというのはどのように決まるのでしょうか。
そこで今回は「力」とは何か、ということについて考えてみたいと思います。
(注)この記事で説明する「力」は、物理学用語としての「力」ではなく、一般的にイメージされる「力(パワー)」という意味で使っています。
よって、この記事で使用する「力」は、物理学においては「運動量」や「仕事率」などと表現される意味も含んでいることに留意してください。
一般に「力」とは、
ものごとが変化する原因となるもの
と定義されています。
先ほど例示した、重いものを持ち上げる、硬いものを壊す、はいずれも力が加わったことでものごとが変化した結果です。
人間が力を外部に発揮するもととなるのは筋肉の中の原子の運動です。
脳からの指令で筋肉中の原子が運動し、その動きが腕などの動きとなって外部のものごとを変化させるわけです。
(詳しくは化学エネルギーとは参照)
この力の強さを決める要因は「重さ」と「速さ」の2つの要素です。
つまり、重くて速く動くものほど、強い力を持っている、ということができます。
また、より重いものを、より速く動かすにはより強い力が必要、と言い換えることもできます。
先ほどの説明の通り、原子の動きから考えてみましょう。
原子1つの動きで生まれる力が「1」とすると、原子100個の動きで生まれる力は100となります。
つまり、単純により多くの原子の動きが集まったほうが強い力を生じることとなります。
より多くの原子が集まっていることは「重い」ということなので、「重い」ものほど強い力を持っている、ということになります。
ちなみに、ボクシングが階級制になっているのは「重さ」が強さを決める重要な要因になっているからです。
テクニックがなくても、ただ体重が重いだけで、軽い人に比べてパンチが強くなってしまうので、ボクシングにおいては体重差が非常に重要になってきます。ただ体重が重いだけで軽い人に比べて圧倒的に有利なので、ボクシングは階級制となっているわけです。
また、力を決めるもう1つの要因が「速さ」です。
速く動いている物体ほど、外部に与える影響は大きいということです。
ゆっくり走っている車にぶつかってもケガはしませんが、速く走っている車にぶつかればふっとびます。
逆に、物体に強い力を与えれば、その物体は早く動く、と表現することもできるでしょう。
90キロの球より、150キロの球を投げるほうがより強い力が必要ということです。
なお、冒頭にも述べたように、この記事では一般的にイメージされる、物事の動きの強さとして「力」という言葉を使っていますが、これは物理学では「運動量」と呼ばれ、質量×速度 で計算されています。
<参考>
物理学用語での力は「質量×加速度」で計算されます。加速度とは、一定時間の間にどれだけ物事の動く速さが変化するか、の度合いです。
加速度が高ければいきなり速くなり、加速度が低ければなかなか速くならない、ということです。
物体に加わる力が強ければ強いほど、より重いものを、より加速させることができる、ということですので、この記事で説明した内容とあまり乖離はないと思います。
このように、力というのは「重さ」と「速さ」で決まる、ということを覚えておいてください。
より強いパンチが打ちたければ「重く」て「速い」パンチを打つようにする、ということです。