みなさんの周りには、木、金属、プラスチック…など、様々な物があります。
そして物にはそれぞれ、
・電気を通す
・磁石にくっつく
・燃える
など、異なる性質があります。また、重さ、硬さ、色などについても異なる特徴を持っています。
このように物ごとに性質や特徴が異なる理由や要因はどこにあるのでしょうか。
今回は「物の性質や特徴を決めるのは何か」ということについて説明したいと思います。
物の性質や特徴を決める「原子」
結論を先に述べますと、物の性質や特徴は、
原子と、原子を構成する原子核・電子の状態
によって決められることがほとんどです。
基本的な知識として、原子というのは物質を構成する小さな粒子で、その原子は中心にプラスの電荷を持つ「原子核」(※)があり、周囲にマイナスの電荷を持つ「電子」があります。
※原子核の中には、電気的に中性な「中性子」と電気的にプラスの「陽子」が含まれているため、全体としてプラスになります。
プラスの原子核にマイナスの電子が引き付けられることで、1つの原子を構成しているのです。
原子の種類によって、原子核に含まれる陽子の数と、その周囲の電子の数が異なります。
通常では陽子の数と電子の数は同じで、水素の場合は陽子1個、電子1個の最もシンプルな原子となります。
また、原子の種類ごとに電子が配置される位置、電子の原子核からの距離などが異なっています。
これらが、物の性質や特徴を決める上で重要なポイントとなります。
<重さ>
まずは、重さについて考えてみましょう。
先ほど述べた通り、原子の種類ごとに持っている陽子の数、電子の数が異なります。
単純に、陽子の数が多いほどその原子は重くなります。
(電子は非常に軽いため、ここでは無視します。)
あとは、その原子が同じ体積にどのくらいつまっているかで物質の重さが決まってきます。
例えば水で考えると、同じバケツに、気体である水蒸気と、液体である水が入っている場合を想像してみてください。
気体は熱による運動量が多いため、一か所にとどまっていられず、バケツの中にある原子の量は少なくなります。
一方液体は熱による運動量が少ないため、一か所に固まって存在しており、バケツの中にある原子の量は気体の時より多くなります。
熱による物質の変化についてはコチラを参照→熱とは何か
結果として、そのバケツの重さは「水>水蒸気」となります。
(同じ体積あたりの重さのことを「密度」と表現します。)
<色>
続いて色について考えてみます。
色というのは、物質に光が当たった時、その物質が吸収せず、反射した光の色が私たちに見えているものです。
光は様々な色が混ざっているものですが、そのうち、物質によって反射する色、吸収する色が異なっています。
例えばリンゴであれば、赤以外の光を吸収し、赤色の光を反射しているため、赤く見えるのです。
この光の反射も、原子の中の電子の動きによるものです。
光は「電子の振動」により生じるものです。
外部から受けた光は電子を振動させる力を持っており、光によって物質の表面で電子が振動させられることで、その光を外部に発する(反射する)こととなります。
光というのは、その色ごとに振動の幅(波長)が異なっています。
また、原子核が電子を引き付ける強さや、原子核と電子の距離などにより、物質ごとに電子の振動しやすさ等が異なっています。
よって、物質によって、青い光でしか振動しない物質、赤い光でしか振動しない物質、という現象が起こります。
その結果、物質ごとに反射する色が異なっているのです。
光についての詳細はコチラ→光とは何か
色についての詳細はコチラ→色とは何か
<硬さ>
続いて、硬さについて考えてみましょう
物質の硬さは、原子と原子(分子と分子)の結びつきの強さに由来します。
強く結びついている物質ほど硬く、弱く結びついている物質ほど柔らかいといえます。
例えば、世界一硬い鉱物である「ダイヤモンド」と、鉛筆の芯に使われる「黒鉛(グラファイト)」を比較してみましょう。
ダイヤモンドも黒鉛も、それを構成するのは同じ「炭素」です。
しかし、ダイヤモンドの硬さに対し、黒鉛は簡単に削ることができます。
これは、ダイヤモンドが全ての原子が電子を共有して結びつく、強い結合である「共有結合」であるのに対し、黒鉛は、横は「共有結合」しているものの、縦の層ごとには電気的にくっつく弱い結合である、「分子間力」でくっついているだけなので、黒鉛は簡単に削れてしまうのです。
モノの結合についての詳細はコチラ→物質の結合について
今回は重さ、色、硬さについて説明しました。
このように、物の特徴はほとんどが原子や電子の状態に起因するものであることが説明できます。
次回はもう少し別の角度から、物の特徴について説明していきたいと思います。