前回の記事で、電力がものを動かす原理について基本的な事項を説明しました。
基本原理をおさらいすると、電力と磁力の関係で生じる、①引力と斥力 ②ローレンツ力 の2つの力によってものを動かしています。
しかし、前回の説明では、ものが1回動くだけで終わってしまい、電車などのように継続的な運動を行うことはできません。
そこで、これらの力から「回転運動」を生じさせ、継続的に動けるようにした装置が「モーター」です。
以下に、モーターの原理を説明していきます。
<①磁石の引力・斥力によるモーターの原理>
中心に回転可能なコイルを設置し、その左右に極の異なる磁石を設置します。
①コイルに電流を流すと、コイルの両端に磁力(N極とS極)が発生します。
コイルのN極は設置された磁石のN極と反発し、磁石のS極に引っ張られます。
また、コイルのS極は設置された磁石のS極と反発し、磁石のN極に引っ張られます。
⇒これにより、コイルが回転運動を始めます。
②コイルが横になるとコイルの磁力が左右の磁石に引っ張られ止まってしまうので、
その瞬間に電流を切ることで、コイルの磁力をなくします。
それにより、勢いで回転が続きます。
③コイルが半周したら、先ほどとは逆向きの電流を流します。
先ほどN極が生じていた側(A)にS極が、先ほどS極が生じていた側(B)にN極が生じ、また、引力・斥力により回転します。
④その後、真横になったらまた電流を切ると、勢いで回転が継続します。
この繰り返しでコイルが回転し続けるのが、引力・斥力によるモーターの原理です。
<②「ローレンツ力」によるモーターの原理>
磁石(N極)と磁石(S極)の間に、右側と左側で逆向きの電流が流れ、回転可能な導線を置きます。
①磁場の中で、Aに手前向きの電流、Bに奥向きの電流が流れると、
Aには上向きに導線(内の電子)を、Bには下向きに導線(内の電子)を押す力が生じます。
(これをローレンツ力と呼びます。詳しくはコチラ)
②ローレンツ力により、導線が回転を始めます。
③半周したら、Aには奥向きの電流、Bには手前向きの電流が流れるようにします。
そうすることで、Aには下向きの、Bには上向きのローレンツ力が生じます。
④その繰り返しにより、導線が回転し続けることになります。
これが、ローレンツ力によるモーターの原理です。
以上、電気の力で永続的な回転運動を生じさせる「モーター」の原理を説明しました。
モーターによる回転運動は、そのままタイヤを回転させることもできますし、
横向きのベルトコンベアを回せば横に動く力を生み出せます。
また、エレベーターの巻き上げ機のように、縦に動く力を生み出すこともできるわけです。
今回の記事で「電気でものを動かす仕組み」が少しでも理解していただければ幸いです。