電気でものが動くのはなぜか1~基本的な原理~

前回の記事で「電気とは何か」ということを説明しました。

簡単に言えば、マイナスの電荷を持つ「電子」が、プラスの電荷を持つ「原子核(の中の陽子)」に引き付けられて移動するというのが電気の正体で、その過程で熱や光を発するというものでした。

そしてもう1つ、電気には「ものを動かす」という非常に重要な役割があります。

私たちの身の回りにある電化製品、電車、電気自動車などは全て電気の力で動いており、そのおかげで私たちは様々な恩恵を受けています。

そこで今回は、「電気でものが動く理由」について説明していきたいと思います。



電気がものを動かす上でのキーワードが「磁力」です。

磁力とは皆さんご存知の通り、磁石などでS極とN極が引き合う(同じ極同士は反発しあう)力のことを指します。

磁石のN極にS極を近づけると磁石が動いてくっついてきますし、逆にN極にN極を近づけると磁石が動いて遠ざかっていきます。

電気がものを動かすのは、電気と磁力の関係で生じる2つの「力」によるものなのです。


①電流で生じる「磁力」の引力、斥力(反発力)で動く>

電流が流れる(=電子が移動する)と、その周りに磁力(磁界)が発生します。

その周囲に磁石を置いておけば、電流によって発生した磁力と磁石の磁力が反発したり引き合ったりすることで、物体を動かすことができるわけです。

「電流が流れると磁場が生じる」のは科学では解明できていないことも多く、そういう自然法則である、と理解してください。



実際には、導線1本で生じる程度の磁力ではモノを動かすには弱すぎるため、鉄の棒(鉄心)に導線をぐるぐる巻きにした「コイル」という装置が使われます。


コイルに電流を流すと、導線に生じた磁力が鉄心に集まって、強い磁力を生じる磁石となります。
(これを電磁石と呼びます。)

この周りに磁石を置いておくことで、ものを動かす力が生じるということです。



②磁力(磁場)の中で電流を流すことで生じる「ローレンツ力」で動く

磁石のN極とS極の間のように、磁力が生じている場所(磁場)で電流を流すと、もともとの磁場と、電流によって生じた磁力が作用して、電子を別方向に動かす力が生じます。

これを「ローレンツ力」と呼んでいます。
(実はこの力が、中学生の頃、フレミングの左手の法則として習ったものです。)




「ローレンツ力」がなぜ発生するかについては科学的には明確でない部分が多く、そういう自然法則であるとご理解ください。現状では、ローレンツ力は以下のような原理で力を生じさせる、と考えられています。


以上、電気によってものを動かすための2つの力を紹介しました。

次回は、今回説明した「ものの動き」を連続して生じさせるための「モーター」について、説明します。

電気でものが動くのはなぜか2 ~モーターの仕組み~


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